ストレート配列、クロス配列について1

さて、この話題、さんざん引っ張ってきましたが(笑)書き始めてゆこうと思います。

これまでこの「ストレート配列」「クロス配列」に対して、あまり気にしていませんでした。様々な違いはもちろん感じるものの、さほど自分のプレイ自体が大きく変化することも無いと思ってました。ただなんとなく自分の演奏はクロスの方が合ってるな、という漠然としたイメージだけで選んでいたような気もします。16穴を使うことが多かったのも理由かもしれない。しかし最近ストレートを入念に試してるうちに、「いやいやこれはかなり違いがあるゾ!」と気づいちまったのだ。

まずストレートとクロスの違い、長所と短所を理解する必要がありますね。

ストレートの長所...スライドのストロークが短く、穴と穴の間隔が非常に近いので音の切り替わりが速くてスムーズ。穴が小さいので少ない空気で音が出る感覚で、濃厚な音色のイメージ。
ストレートの短所...穴が小さいので大きな音を鳴らしにくく、ダイナミクスや表情がつきにくいかもしれない。高音域に息の音の成分が少ないので細い音に感じる。

クロスの長所...穴が大きいので息が沢山入るゆえに大きな音を鳴らしやすく、表情を付けやすい。高音域では息の音の成分が結構聴こえるので豊かな音に感じる。
クロスの短所...ストロークが長く、穴と穴の間隔が開いているので音の切り替わり、音の繋がりがバタバタと聴こえる。

もっと細かいことを言うとキリがないほどありますが、まず感じることはこの辺りでしょう。ただし、あくまで「スズキのクロマチックハーモニカ」という大前提です!!!ホーナーのハーモニカには必ずしもピッタリとは当てはまらない部分もあると思います。スズキの設計や精度の高さゆえに感じる部分というものがあるので。例えばホーナーのストレートにはスズキのストレートのような「濃厚な音色」のイメージはありません(入念に調整したシルバーコンチェルトなら感じるのかもしれませんが…)。マウスピース部分の部品数や設計自体の大きな違いというのがやはり同一線上で語れないところでしょう。

何故最近になってストレートに変えようと思ったのか。

端的に言えば「今、頭の中になってる演奏のイメージがストレートが適してるっぽい」ということ。ちょっと前から考えている演奏の感じがクロスでやろうとしてもどうもリンクしてこないのです。ストレートでやってみたところ、もしかしたらこっちの方が良いのかも!というのが事の始まり。ちなみにその「演奏のイメージ」とは既存のハーモニカプレイヤーをイメージしたものではありません。だから、こういう感じと説明するのは不可能。はたしてイメージするように吹けるようになるのかもわからない(笑)5〜10年後くらいの自分に期待(笑)
クロスの時にイメージと違うと思った理由は、音の繋がりがバタバタとしてしまう部分と、息をさらに少ないところから使うと良いかな、と思ったから。それと16穴モデルから一回離れてみようかな、ということも実はあります。

当初はそんな感じからストレートを吹き始めたのですが、使ってるうちにストレートの独特さ、面白さを沢山知り、この楽器をどう操ってやろうか、という姿勢にもなってきてます。
「ストレート」「クロス」という違いではありませんが、現在スズキには16穴のストレートはありません(ホーナーにも無い、ヘリングにはあったね)。だから結果的にストレートの楽器は12穴(F-48SかS-48S)か14穴(S−56S)です。特にハンドマイクで使用する場合、楽器が小さい方がマイク乗りが良い(それの最たるものは10ホールだね)。だから16穴はすごく不利なんです、沢山音が逃げちゃうからね。16穴、12穴で生音で同じ音量を出していても、ハンドマイクで演奏するとスピーカーから出てくる音は12穴の方が「近くてデカい音」という感じがする。もちろんそれは好みであり、16穴の遠い感じの方が自然に聴こえる、とも言えるかもしれない。

スズキストレートは濃厚な音色がすると書きましたが、その近い音像と濃厚さがプラスされると、非常に存在感のある、芯の分厚い音が得られるのです!この事実を知ってしまったからたまらない(笑)
考えてみると、スズキユーザーでストレートを使い個性的に「これぞスズキのストレートの音!」というプレイヤーはほとんどいないのでは。現在、グレゴアマレ、ウィリアムギャリソン、スティービーワンダーが代表的なスズキハーモニカユーザーですが、みんなクロスなんだよね。まぁ僕もそうでしたが…。ということはまだ未知の分野なのです。誰もまだ見ぬ世界を探求することほど楽しいものはない(^^) 

キリがないので今回はこの辺で。今後もこの話題は続けます!

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    ストレート配列、クロス配列について1” に対して8件のコメントがあります。

    1. Katsuya より:

      待ってました!(笑)
      それにしても「光栄モデル」とも言えるF-64Cを離れる日が来るとは、想像もしませんでした。ストレートの魅力に取り憑かれたら、もうクロスには、戻って来ないような気がします。

      引き続きこのネタでよろしくお願いします。

    2. koei より:

      待ってたんだ(笑)
      確かにF-64Cを自分ほど使いこなしてる人間はいないと自負してますが、新鮮な息吹を自分のプレイに取り込みたいとは常に考えてることです。クロスを全く使わなくなるか?と言われれば、たぶんそんなことはないと思いますが、もしかするとクロスらしい音色を一番表現出来るのはSCXシリーズかもしれない、という新たな見解も浮上してきたのだ(笑)

    3. Katsuya より:

      SCXの話は、次回の記事でお願いします。
      光栄さんが話題にすると売れちゃうなぁ〜。

      クロスとストレートの併用で、演奏に悪影響はないのか?気になるところです。

      あと、発売当初、シリウスの12穴を使われてたと思いますが、あの頃のストレートに対する思いと今のストレートに対する思いの違いとかありましたら、これまた、次の記事で書いて頂けると有り難いです。

    4. koei より:

      食い付きいいねぇ~(笑)
      リクエストにお答えして今度書きましょう。発売当初にシリウス12穴をちょこちょこ使っていたのを覚えてるとはさすがですね~

    5. しい より:

      ストレートは昔使ってた印象だと、遊びが少なくてスライド操作がシビアなイメージがあります。あとは吹き心地がクロスの方がいいかなぁとか。
      スティービー的なスライド操作をしたときとか、半音上が綺麗に鳴りすぎるという印象もあります。
      光栄さんの最近の演奏を聞いていないので、まだイメージがわかないですが、ちょっと試してみたいですね。
      次の更新待ってます〜

    6. koei より:

      まさにそんなイメージだね。スティービー的にスライドフェイクすると、どうもイメージが違う。クセ的なスライドフェイスを減らしたい、というのも今やりたいことなんだよね~。でも本番ではどうしてもクセで入ってしまうんだけど(笑)でもニュアンスがクロスとは(自分的には)違うから、それはそれで面白いかな、とも思ってる。スティービー的になってしまう演奏から脱却したいんだよね~。
      最近の演奏、と言ってもまだまだそんなに変わったわけではないと思う。こういうのはしばらくかかるだろうね~。

    7. しい より:

      音色は追求しがいがありそうですね。
      フレーズについてはどうでしょうか?
      スライド操作が必要で吹き吸いの混ざるフレーズとかは、遊びが少ない分やりやすそうではありますが。
      ゴーストノート的な音の多い速いフレーズとかは、逆にくっきりしてニュアンスがかなり変わりそう。
      光栄さんなら吹き方であまりクロスと遜色ないように出来ないこともないような気もしますね。
      このままだと気になって自分でもストレート買いそうです。

    8. koei より:

      フレーズについて、スピード感のあるフレージングをしたい時は、やっぱり良さそうだね。速く追従してくれる感触があるから、譜面読みながら演奏する時に楽な気がする。
      ゴーストノートのやり方にもよるかな~。以前よくやっていたような、スライドをわずかに押して(または引いて)ムニっと音をくぐもらせるようなゴーストノートは確かにキツイだろうね。でも最近使うゴーストノートのやり方は直接息でかけてるから問題無いね。
      うん、理想はクロスで出来ることはすべてやれて、なおかつクロスではやれないことが出来るようになること(笑)出来るのか、そんなこと。。。

      まだまだ実験中だからなんとも言えないけど、ストレートも試すといろんな発見はあると思うよー。

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