トゥーツ・シールマンスが天に召されました。

先日2016年8月22日にToots Thielemans(トゥーツシールマンス)が天に召されました。94歳で老衰とのこと。

もちろんとても寂しいことですが、91歳まで現役で演奏して、94歳で老衰で昇天なんて、スタンディングオベーションですね。最高に素晴しい。「ありがとうございます」という気持ちしかない。

「トゥーツシールマンス」というミュージシャンがいなかったら、僕はここまでハーモニカに熱心にならなかったかもしれないな〜といつも思っています。「ハーモニカ」という楽器はとても有名で身近なものですが、どこか「オモチャの延長」くらいにしか思われていないところがある。それをここまでジャズ、ポピュラー音楽の中で高みに上げてくれたのは、トゥーツです。トゥーツの功績が無かったら、ハーモニカの立ち位置は違うものになっていたかもしれません。そうであったなら、こんなに熱心に取組み続けることは無かったんじゃないかな〜と思ってしまうんですよね。

とはいえ、僕は10ホールからスタートしてるので、最初からトゥーツだったわけではありません。10ホールを始めて間もない頃にトゥーツも聴きましたが、正直ピンときませんでした(笑)それよりも10ホールの野太くソウルフルな演奏の方がしっくりきたものです。

そこからかなりの年月が経ってからですね、トゥーツの音楽が自分の中にどんどん入ってくるようになったのは。聴き始めてからは少しずつ時代を遡るように聴いていった感じがします。だから今、トゥーツのアルバムで一番聴いてるのは「初期」のアルバムという状況(笑)ここ何十年でジャズも音楽界そのものも、ぐるりとひと回りしてきたと思うのですが、そんな今だからこそ、この年代のトゥーツの音楽がとてもスーッと入ってきますね。

でもトゥーツは非常にミステリアスでもあるのです。ずっと僕の中で気になっていることがあります。それは60年代から70年代あたりの間で演奏の内容がガラリと変わっているのです。その後も変化はし続けているのですが(それがトゥーツのミュージシャンとしての本当に素晴しい部分!)、その年代の変貌は実に興味深い変化なのです。

ジャズもどんどん変貌をとげた時代でもあります。ビバップ〜ハードバップから、モード、そしてクロスオーバー&フュージョンと留まることなく変化していきました。それにまかない、インプロヴィゼイション(アドリブ演奏)においてもどんどん新しいアプローチが必要になっていったでしょう。そういった意味では演奏内容が変わるのは必然です。それはその時代のどんなジャズミュージシャンもそうだったでしょう。しかし、先ほど話した時代のトゥーツの演奏内容の変化は、「フレージングの変化、進化」という範疇では収まらない変貌ぶりに聴こえてしまうんですよね〜。「息の量」「息のスピード」「音の響かせるポイント」「ビブラートの質」さまざまに変化しているように聴こえます。もの凄い勝手な憶測で、この時代に身体を悪くするようなことがあって、単純に以前のような演奏が困難になったのではないか……… というようなことまでも考えてしまいます…。

トゥーツの自伝とか欲しかったな… まぁこの辺は気が向いたら記事を書いてみたいですね。

いずれにしても、トゥーツから沢山のことを受け継ぎ、次の世代へと伝えていく役割も自分にはあると思っています。

トゥーツ!どうもありがとうございました。RIP Toots Thielemans.

IMG_7662

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です