続・リードプレート
先日の記事のコメントで「10ホールファビュラスもワイヤーカットか?」という質問に対して、情熱の営業マンYさんに聞いてみたところ、回答メールをいただきました。いろいろ興味深く、みなさんにも知ってほしいな、と思うことあったので、新たにアップします〜
10穴のファビュラス プレートはプレス製作です。
リードを再設計(音色と耐久性を解析しロング化)、リードプレートの生産で初めてシェービングに挑戦、採用しました。
その後の開発商品である、MANJI、OLIVEに引き継がれています。
リードに関してはMANJI製品化の際、ファビュラスリードをベースに耐久性を考慮して再設計しています。
という回答メールをいただきました。さぁ、ここからはマニアックにいきましょう(笑)
さすがに10ホールもワイヤーカットだと10ホールにおいての常識的な価格設定内では無理なのでしょう。しかし10ホールにもクロマチック同様の響き(高域まで綺麗に伸びた音)を感じます。いまだに音色的にはファビュラスが一番のバランスだと思う。
しかしこの「シェービング」という言葉がポイントになってますね〜
プレスでガツン!と打ち抜く際に、1回で打ち抜かず、あえて2回かけて打ち抜くことをこのように呼ぶようですが、ここにとても大事な意味があります。
一番最初に(もう何年も前の話ですな)スズキの工場を見学した時に教えてもらい、実に印象に残っていることがあります。それがこのプレート打ち抜き(プレス)についてなのです。それまでの機械だと、その打ち抜かれた部分の表側と裏側が同一の幅にならない、ちょうど台形のような形になってしまい、裏側が広がってしまう、と。それだと精度に欠けて、空気ロスやバラツキが出てしまう。そしてその当時に新しくプレスの機械を自社で作ってしまったようですが、今までのよりもかなり強力なもので、何十トンだか何百トンだか忘れましたが、なんせものもの凄い圧力でプレスすることで、極限まで均等な幅にするのです、と言ってたのを良く覚えてます。その機械も実に印象的なものでした。こんな手の平サイズの薄い物を打ち抜くのに、やたらとバカデカイ物で、まるでそれはガリバーの世界だったよ(笑)そんな機械を使って、さらに2回にわけてプレスするわけです。わかりますよね!
「僕は君(プレート)を絶対に台形になんかしないぞ!」という熱い想いなわけですね(笑)
なんでこんなにこの時のやりとりが印象に残っているかと言うと、その当時(スズキを使う前)に使っていたハーモニカのバラツキ、個体差が激し過ぎて、もう本当にツラかったのです。そして、リードまわりの精度(プレートとの関係)がバラツキが出る一番の原因だ、というとこまで自分でも突き止めていたのです。どうすればこのバラツキを抑えられるのだろう…といつも考えていた。だからこの話を聞いた時にとても腑に落ちたのです。最近のスズキ10ホールがオーバーブロー、オーバードローがやり易いことの核心はココでしょう。「エンボス」という作業が行なわれるようになったのもこういう部分からなのでしょう。クロマチックにおいてもシリウスやグレゴアなどの濃厚な音色の核心がココでしょう。
そう考えるとMANJIやOLIVEってどんだけお得なモデルなんだろう…。ファビュラスを開発するのに膨大な時間と費用をかけたはずですが、ファビュラス以降は矢継ぎ早に新しいモデルがどんどん出てるのは、全てはファビュラスという「親分」からの再設計で作れるからなんでしょうな〜。
いや〜、ついリードプレートについて熱くなってしまったよ(笑)
6月22日 (金) 鎌倉「Daphne(ダフネ)」ライブ、よろしくお願いしますー!!
なるほど。シェービングですか。
この記事を読んで益々、スズキのファンになりました。
ファビュラス、ホントにいいハープですよね〜。スズキの皆さんに感謝。
プロの方で使ってる方は、少ないようですが。Manjiが良過ぎるからかな?
Oliveもだいぶ馴染んできました!
さすが手間のかけ方が違いますね。日本人バンザイ! スズキバンザイ! 僕はファビュラスはクロマチックも10ホールズも試奏しかしたことがありませんが、やはりいつかは手に入れたい楽器だなあと思っています。
そうそう、それと最近ManjiとOLIVEを1曲の中で使い分けることをし始めました。単純に後半前半だったり、もう少し細かく入れ替えたり。今は自己満足の世界ですが、表現する音質の差で自分的に面白いことになっています(^^)。そうし始めたら相方が何かを感じたようで、何も言っていないのにいろいろアイデアを出してくれるようになりました。肌で感じ取ってるのかも知れませんね。
しかしこれもスズキの試行錯誤やクラフトマンシップがあってこその賜物です。マジでスズキバンザイ!!!
Katsuyaさん
この話を工場で聞いた時に、これからはスズキだな、と確信したんですよね。ここまでの精度で作れるメーカーは今のとこ無いですからね。
日本のプロでファビュラス使ってる人は確かに少ないです。思うに「ファビュラスを使いこなすようなスタイルのプレーヤーがいないから」ではないでしょうか?自分のスタイルにはとても合うので、ここぞ、というところではやはり使いたいですね〜。まぁあとは「重い」とか「高い」とかも遠ざける原因ではあるでしょうね…
bunjiさん
「MADE IN JAPAN」が信頼される要因ってこういうことなんでしょうね〜。
ManjiとOliveを1曲の中で使い分けるとはグットアイディアですね!使い分けることで、その曲に対する自分の中のドラマとピッタリとフィットするのなら、その使い方は正解でしょう。まぁ実際そういうふうにしたくなる気持ちは良くわかります。確かにこの2つを演奏する時の気持ちの部分、感情の部分はかなり違ってますね。僕も。